願いをこめて・・・。【悲しみの再会】(2) ~帰宅、停滞、決意

2011年05月11日

【悲しみの再会】(1) ~告白、戸惑い、迷い。

以前、我が家の預かりダックス・ウィンちゃんが体調を崩した時
自分の弱さのせいで、実家に預けていたのがいけなかったと書きました。

今日はその頃の事について 少し…いや、
まとまりが付くか解らぬまま書いてみます。

(※異様に長いのでスルー推奨)



誤解されやすいので何度か書いていますが、
私は「動物愛護活動家」ではありません。

もちろん、自分で愛護活動が「できる」「できている」
なんて思えない事もありますが、
そもそも初めから
「動物愛護活動をしている」つもりはありませんし、
私の場合は犬と周りの人を巻き込んだ、
“自己満足活動”でしかないというのが「事実」であり、
謙遜等ではなく、開き直るしかない状況です。

いつか全てをお話ししたいと思っていますが、
何の為の活動かと問われれば、間違いなく自分の為であり、
あわよくばそれが犬の為にならないかなぁという程度です。

本人としては、贖罪と恩返しがしたいので、
何とか「犬の為」や「犬のしあわせ」について
考えようとしているのですが・・・
なかなかやはり、私ではうまく行きません。


人間としても愛犬家としてもまだまだ未熟な若輩者で、
愛護のアの字も真似できない預かり人。

自分のこだわりポイントにだけは執着する頑固者で、
大雑把なくせに心配性、
悲しいかな、先々を悪い方向にばかり想定する癖もついています。

それゆえに、自分の身の程も省みず、
真家族希望者さまをふるいにかけるような
傲慢で面倒な段取りを敢えて踏み、
審査基準・譲渡条件を設け、譲渡活動をしています。

「可愛がってくれるって言ってるのに、渡さないの?」
そんな声が、心の内外から漏れ聞こえない訳ではないのですが、
そこが「自己満足」、飽くまでも私一個人の独断であり、
いくら一生懸命「適正な飼養」を条件に考えていても、
要するに人間側の都合だという事実に葛藤する事も多々あります。


その身勝手な預かり人が、
“できる範囲で…。”と模索しながら、
鈍足の“自己満足”活動を続けてきた結果、
数少ない保護犬・譲渡犬の中で今回、
辛く苦しい出来事が起こってしまいました。

「飼育権放棄の申し出」

・・・要するに、「卒業犬の出戻り」です。

“譲渡したが、飼えなくなったと戻ってきたから再募集・・・。”
有名な団体やNPO法人として活動している団体でも目にする話しです。

一素人の活動で同じような事が起こったとしても
何ら不思議はないでしょうし、
もちろん譲渡時に、「譲渡後、飼育困難になった場合」にも触れて
契約を交わしています。

そう、人間の人生なんていつ何が起こるかわからないのですから、
譲渡相手を信用するとかしないとか言う問題ではなく、
「この先飼えなくなる事」を想定しない訳にはいかないのです。

だから、「全く想定していなかった訳ではない」はず、なのに、
実際に“事”が起こってみれば、それは、
「“心が折れる”とはこういう事を言うのか・・・」と痛感する出来事で・・・
その放棄理由は、ここ近年で一番のダメージだったかも知れません。

もちろん、通常どおりの社会生活は送っていましたが
保護犬と向き合い、前に進む気力の根源を見失ってしまい、
ウィンクたちの目をまっすぐに見つめる事ができなくなってしまっていました。

自分のやってきた事は間違いだったのか・・・

何も考えられない、考えたくない気持ちに支配され、
日々のお世話からも逃げたくなっていたのかも知れません。

そんな経緯から、情けない話ですが、家族に甘えて
ウィンちゃんを元居た実家に預けてしまったのです。

それがストレスだったのか、はたまた
預けている数日の間、
些細な体調不良のサインを見逃さないというのが
実家の家族には無理だっただけかはわかりませんが・・・

快復したから「反省」で済みますが、
ウィンちゃんにはしんどい思いをさせてしまいました・・・。


この時にも弱音を吐いてしまっていますが、
たとえば、
愛情のかけらもないくせに
犬の「所有」にだけ執着する飼い主や、
金儲け主義の繁殖者とやり合わなければならない場合、
それらは保護・譲渡活動において、
とても心をすり減らされる問題で、
正面から立ち向かうだけでなく、
あらゆる消耗を感じながらの活動になるでしょう。

しかし、私の場合はそうではないですし、
団体に属する勇気もなく、
これしきの事で心が折れてしまうのですから、
やはり私にはこういう活動は向かないと判断せざるを得ません。


「出戻り犬」の元の譲渡相手は若いご夫婦でしたが、
今まで、それはそれは可愛がって下さっていました。

しかし、奥様が妊娠されて体調が変化し、さらに出産後は、
体調、生活に加えて心理状態が変化しました。

譲渡から1年4ヵ月・・・
戻ってきたのは、ポメラニアンのぼにたんです。


「子供が生まれて飼えなくなった」

これだけを聞けば、「よくある話」…
確かにそうなのかも知れません。
それが保護犬の譲渡先で起こってしまったのですから、
“選考する私に、基本的な先見の明がないからだ”と言われれば、
返す言葉もありません。

“あーやっぱり” “よくある話” “これだから若い人は・・・”
他人から見れば、それだけのことなのでしょう。

愛護団体や個人で保護譲渡活動をされている方の譲渡条件に、
同棲中カップルや単身者、子供の居る家庭を
それだけで不可とする所が多いのも、
家族に出産予定者が含まれるかどうかが問われるのも、
こう言った実体験を重ねた結果、
生まれてしまった「回避術」なのかもしれません…。

しかし、実際の飼い主さんに何度もお会いし、
やりとりを続け、「この人なら大丈夫」と託した人間にとっては
甘いと言われようが何と言われようが、
青天の霹靂としか言いようのない、
「まさかあの人が」という出来事なのです・・・。

譲渡前に、これからお子さんができた時の事や、
生まれた後に飼えなくなる可能性も
こちらからお話しして託したのですが、
正直、こういった形で飼育困難になるとは・・・。

「子供が生まれて以前のような楽しい生活をさせてあげられない」と
良心の呵責を訴えられる奥様。

当然、ご本人にとっては初めての育児ですから、
普段の家事に加えて、犬育て(多頭飼い)を
周りのサポートなしで全てこなせる訳がありません。

譲渡当時はご主人のご実家暮らしで、
その後転居されてからは
奥様のお母様と同居しておられると伺っていましたが、
契約者は奥様であり、毎日家にいて世話をされるのも奥様です。

私は確かに偏った考えの人間ですが、
犬の為ならヒトが犠牲になるべき、というような
極端な考えには賛成できません。
当然、人間の子供が優先されて然るべき と捉えています。

初めは、慣れない子育てのストレスで追い込まれ、
思い詰めてしまっておられるだけではないのかな と思っていました。
時間を作って話しを聞いて、こころをほぐして
肩の力を抜いてもらえれば、また考えも変わるだろうと。

しかし、現実は違いました。

幾度か言葉を交わす中で受けた告白・・・。

「手をあげてしまう事がある」
「サークルからあまり出てきてくれなくなってきた」

これを聞いた時にはあまりのショックに・・・・・・

正直、今でもあまり思い出したくありません。


自分でも、自分がこんな風になるなんて思わなかった、
と 戸惑い、良心の呵責に苛まれる飼い主さん・・・

出産や育児は生き物として当然の事、のように扱われがちですが、
私は並大抵の事ではないと思っています。

しかし、私は子供を持った事がありません。
奥様より年長者で、犬の飼育者としてはいくらでも話す事があっても、
出産後の母親の心境など、
身をもってアドバイスできる事などなにひとつ持ち合わせていないのです・・・。

子供を持つ事を望んでいるわけではないにも関わらず、
自分の人としての未熟さに、改めて気付かされた思いでした。


初めはリード付きのお散歩もうまくできなかったぼにたんと
毎日少しずつ歩を進めて、
上手に歩けるようになったと喜んでくれた飼い主さん。

ぼにたんの生まれ持った股関節形成不全を
心から心配して下さっていた飼い主さん。

可愛くて仕方ないと言ってもらった言葉に嘘はないはずです。

多分、愛したいのに愛せない苛立ちもあったでしょう。
愛さなければいけないのにという想いにも縛られたでしょう。

しかし、愛情は義務ではないし、
誰かに押しつけられるものでもない。

まして、ぼにたんの存在がストレスになる状況で
ぼにたんのしあわせは守れない。

それでもなお、
私は悩みに悩みました・・・混乱、動揺の中で。

きちんとした愛護団体等であれば、
「虐待」と「契約違反」により即刻飼育権剥奪!
で終わる話なのかも知れません。

私にとってのこの「衝撃の告白」から、充分に時を経た今だから、
そして、こんな風に多少なりとも経緯や状況をまとめようと
ブログ上に吐露する事でようやく冷静になり、
単純な問題として捉える事ができるようになりましたが
やっぱり甘いというか・・・つくづくヒヨッコ丸出しですね、私。

ようやく住み慣れた新しい家から
ぼにたんを引き離す事の是非と・・・
以前働いていた職場で
若い人を指導・育成する立場にあった事もあり、
ここでぼにたんを取り返す事が
若い彼女の今後にとってどうなのか、等と、
介入の必要がないと思われる余計な事まで色々考えてしまい、
悩み、正解を見い出せず、
何を優先すべきか、誰を守るべきか
一瞬わからなくなりそうになりながら、
結局、「話し合う機会を設ける」のではなく、
「引き取る前提」で会いに行く事にしたのでした。

*****

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chiwawan_mama at 19:30│★ひ と り ご と 。 
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